2023.R05.01.16 HONDA Cub e:(カブ イー)





ホンダが中国で発売する電動カブはカブe:と名付けられたEB(Electric Bicycle=電動自転車)で、最高速が25km/h以下と自転車並みのスペック。

だが、元々カブは1952年に発売された自転車用補助エンジンからスタートしており、電動化で原点回帰した形だ。

実は、カブe:が発表される前に、ホンダは電動カブのコンセプトモデルを2回に渡り提案しており、今回3度目の正直で製品化が実現している。

最初は2009年の東京モーターショーに出品されたEVカブで、電動ならではの強味を生かした前後2輪駆動の野心作だった。

次は2015年の東京モーターショーにEVカブコンセプトを出品。

こちらはスーパーカブC125のコンセプトモデルと同時発表され、ともに2018年のスーパーカブ誕生60周年に市販される予定だったが、EVカブはバッテリーのサイズなどの問題で市販に至らなかった。

これらを経てスーパーカブ誕生65周年の2023年に中国でカブe:が発売される。

スーパーカブの条件として受け継がれている大径17インチホイールやアンダーボーンフレーム、レッグシールドなどがきっちり盛り込まれており、今度は電動でも人々の生活を豊かにしていくだろう。



Cub e: [HONDA] 1958年登場のスーパーカブは、2009年と2015年の東京モーターショーでEV仕様が出品されたが市販されず。

今回が初の電動カブだ。

価格は5999元(約11万7000円)だ。



カブe:のカラーバリエーションは灰、白、ベージュ、赤の4色。

日本のスーパーカブ50のベージュとカラーを一致させているが、灰と赤はカブe:のみのカラーだ。



カブF型(1952年) [HONDA] 初のカブシリーズは自転車の補助エンジンとして発売された。

2ストローク50ccエンジンの最高出力は1PSなので、定格出力0.54PSのカブe:と走りは同等かも。



EV-Cub [HONDA] 最初の電動カブの提案は2009年のコンセプトモデル。

前後輪にインホイールモーターを採用した2輪駆動方式でアルミダイキャストフレームの中央にバッテリーを収めていた。



EV-Cub Concept [HONDA] 2009年のコンセプトモデルからより現実的なパッケージに進化。

バッテリーは着脱可能で充電のしやすさも配慮され、当時の八郷社長は市販を宣言していたのだ。



CUV ES [HONDA] 実はカブならぬ電動CUVが1994年にディオベースでリース販売されていた。

定格出力0.58kWで1充電61kmの航続距離だった。

電動カブがホンダの悲願だったことを示唆するネーミングだ。

アンダーボーンフレームとすることでバッテリー容量に制約あり

カブe:は、同時発表されたズーマーe:やダックスe:とは車体パッケージが大きく異なる。

まず、前後17インチホイールはスーパーカブの伝統でこれをきっちり踏襲。

一方、アンダーボーンフレームに収納されたバッテリーは24Ah→20Ahに容量が落とされている。

航続距離もズーマーe:の90km、ダックスe:の80よりも少ない65kmとなるが、バッテリー重量は6.5kgとダックスe:よりも2.4kg軽量だ。

また、定格トルクは3車で最大の16Nmを発揮し定格出力もダックスe:と同じ0.4kWとなっている。

ちなみに車重は最軽量の53.5kgだ。

使い勝手はダックスe:と共通で、施錠と開錠はNFCカードや4G通信、ブルートゥースを利用する方式だ。

また、ダックスe:と同様にGPSによる車両の駐車位置検索やスマホに警告が届く盗難抑止アラームにも対応している。



LEDヘッドライトやウインカーは、ダックスe:と同じ丸形とし、ハンドルカバーなどスーパーカブのスタイルを踏襲している。



短くカットされたリアまわりのスタイルはスーパーカブシリーズと大きく異なる。

テールランプはテールカウル上にハイマウントされている。



スーパーカブと同じ17インチホイールでタイヤサイズも近い。

ダックスe:やズーマーe:の10インチとはライディングフィールが異なるだろう。



フロントはディスクブレーキを採用。

スーパーカブシリーズも110ccモデルが2022年にディスクブレーキ化されたばかり。



リアまわりのスタイルがスーパーカブと大きく異なるのに伴ってリア1本サスですっきりした見た目になっている。



三角形のシートはスーパーカブの定番。

通常ならシートの下に燃料タンクがあるが、カブe:のバッテリーは足元に収納されている。



バッテリーは着脱式の48V/20Ah。

ダックスe:やズーマーe:の48V/24Ahよりも容量は小さい。

車載したままでも充電できるようにシートの手前にコネクター接続口を備えている。



駆動はインホイールモーターとペダル式を採用。

BOSCH製を採用するダックスe:やズーマーe:と異なりモーターは現地のホンダ製で、リアはドラムブレーキとなっている。



メーターはフル液晶表示で、時計や電池残量を大きく表示。

Bluetoothやクルーズコントロールのインジケーターも表示される。



切手大のNFCカード(右上)やスマホのNFC機能(右下)、スマホのBluetooth(左)の他、スマホの4G通信でも施錠や開錠ができる。



余談になるが、本田宗一郎氏と藤沢武夫氏がスーパーカブを開発する際に欧州を視察し、これらの開発要件を定めたとされる。

カブe:にも受け継がれる伝統だ。

カブe:中国仕様主要諸元

・全長×全幅×全高:1839×710×1066mm

・ホイールベース:1235mm

・車重:53.5kg

・モーター:永久磁石

・定格出力:0.40kW

・定格トルク:16Nm

・バッテリー種類:リチウムイオン

・バッテリー電圧/容量:48V/20Ah

・1充電走行距離:65q

・ブレーキ:F=ディスク、R=ドラム

・タイヤ:F=70/90-17、R=70/90-17

・価格:5999元(約11万7000円)※日本国内導入予定なし





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